心土破砕(しんどはさい)
なんだかすごく意味深な単語に思えます。心の土を破砕するんですよ。
心機一転、古いこだわりの心を捨てて頑張りますみたいな。そんなことないか。
本当は、田んぼでの秋作業の一つです。
「サブをかける」と言ったりもします。
この作業。ワラだしの終わった田んぼに、サブソイラという作業機で
地面に切り込みを入れ、同時に土中に空間を作る作業です。
地面に切り込みを入れることによって、田んぼの地下40-50cmにある暗渠という
排水設備に水が流れていきやすくなります。
この作業をすることにより、田んぼの透水性の向上、排水性の向上を見込めます。
「秋のサブは、春乾く。春のサブは秋乾く」 そんな風に言われています。
つまり、秋稲刈り後にサブを入れることで、春の融雪期に田んぼの排水がよく
雪解け水が排水されやすく、田んぼがよく乾く。
春の田起こし前にサブを入れることで、秋の稲刈り前の田んぼの水を抜く時期に
水が抜けやすく、田んぼが乾くという事をいっています。
そう、この作業は半年先の春の田んぼ作業を考えて行う作業なんですよ。
いま、きちんと田んぼの手入れをしておくと、春にいい状態になる!
何事も先を見据えて、今大変でも準備しておく。
田んぼだけでないすべてに共通ですね。
目先の事だけ考えていてもだめなんです。将来どうなるかが大事。
もとい、このサブソイラの作業。
地面に切り込みを入れていくという事でポイントは、深さと位置。
深さは、地面に切り込みを入れていく深さが暗渠付近まで到達し、
かつ暗渠のパイプ自体には到達しない深さを目指す。
地下約35~45cmを目安という事で切り込みに10cmごとにメモリを付けた棒を差し込んで
切り込みの深さを確認しつつ、作業を進めます。
※田んぼにより深さは異なります。暗渠の敷設深度にもよります。
溝を切る位置も、土中の暗渠排水がどういう配置かを考えながら、
どう溝を切ると暗渠につながるか、あるいは、田んぼの表面のどこに水がたまりやすいか
なんてことを考えて作業をします。
農家の世界は、「勘と経験」とよく言われますが
この心土破砕の作業でも、理論を勉強して現実に即して作業を進めています。
理論的に説明がつく、きちんと研究された栽培方法は基本として大事。
そのうえで、いわゆる「勘と経験」の世界が出てくると思っています。
最初から「勘と経験」だけを頼って、科学的に勉強をしないのはNGで。
農家の先輩方も、「勘と経験」といいながら、実はとてもよく勉強しています。
品種の事、作業の事、資材の事、機械の事、新しい農法 etcすごい知識量。
「勘と経験」を働かせるにも、勉強=情報のインプットは絶対必要ですね。
「今年は天気がいいから豊作だ~」 この言葉は、ある意味ウソ。
豊作には、豊作になる理由がある。不作には不作になる理由がある。
絶対に、天気だけが理由ではないと思います。
農業は、単なるお天気頼み、神頼みの世界ではないですよね。
最大限の科学的農業+αの神頼みだと思います。
あぁ農業、勉強すること限りなく。楽しいな。
心土破砕からずいぶん話がズレました・・・・。